【1】配偶者との間に子どもがいない場合
法律では、夫婦の間に子どもがいない場合、親や兄弟姉妹に相続権を認めています。 一般的な家族の場合、親や兄弟姉妹に頼ることなく生活をされているケースが多いと思います。しかし、遺言書がない場合、妻が夫と一緒に築いた財産であっても、夫の遺産は親や兄弟姉妹にも相続されることになります。 子供がいない夫婦の場合は、遺言書に「妻だけに相続させる」といった記載をしておくことで、その後の遺産を巡る争いをあらかじめ防ぐことができます。
【2】家族関係が複雑な場合
相続人の数が一般的な家庭と比較して多い場合や、親族間が良好でない場合は特に注意が必要です。相続を機とした親族間での対立が、一般的な家庭よりも起こりやすいと考えられるからです。相続は家庭の事情や、相続人の数によって大きく異なりますが。 家族関係が複雑な場合こそ、遺言書にあなたの想いを残しておくことが重要になるのです。
【3】特定の人に多くの財産を遺したい場合
一昔前の家庭では、長男が結婚して実家に居住し、親の面倒を見るといったことが一般的でした。このようなケースでは、実家の土地建物は当然のように長男が相続し、他の兄弟姉妹も文句を言わないものでした。しかし、法律上は、兄弟姉妹は平等な相続割合となっています。 「長男に、土地・建物を継がせたい」といった、あなたの想いを確実に実現させるためにも、遺言書で「誰に・何を」相続させるのかをはっきりと記載しましょう。
【4】遺される親族にお願いをしたい場合
あなたが旅立った後、親族に対してお願いしたいことはありませんか。例えば、「ペットを引き続き可愛がって欲しい」「お墓参りの際には、好きな花を持って来て欲しい」といった、あなたの希望を遺言書に記載しておくことで親族に想いを伝えることができます。実際は、遺言書に記載したとしても、こういったお願いについては法的な拘束力はありませんが、あなたの想いを伝えることによって親族が想いを引き継いでくれるかもしれません。
【5】相続財産のほとんどを不動産が占めている場合
一般的なご家庭の相続で、最も高額な相続財産は不動産です。 不動産をめぐっての親族間での争いは後を絶ちません。その中でも多いのが、不動産が相続人の間で 共有状態(※1)になるケースです。 共有状態になると、不動産を処分するにも共有している全員の同意が必要になる等、権利関係が複雑になります。さらに2次相続(共有者のお一人が死亡した場合)が発生すると、さらに複雑になるのです。 相続財産のほとんどを不動産が占めている場合は、それをどのようにするのかを決めた上で、遺言書に記載しましょう。もちろん併せて、あらかじめの「相続対策」が必要となります。 ※1共同所有のこと。不動産が共有の場合は、売却等の処分については共有者全員の同意が必要になります。 |